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鋼の世界にバレンタインは無い?ノンノン気にしな~い(笑)

「あの・・・ッ!マスタング大佐、よろしかったらこれ・・・ッ」
「・・・ん?」
通常の時刻に出勤したロイは、自分の執務室に向かう途中で突然差し出された包みに、驚いたように目を瞬かせた。
美しい金髪を腰まで伸ばした小柄な女性は、俯き加減ではあるものの、その両手に大切そうに握られた包みはロイに向けて真っ直ぐに差し出されている。
暫し空に視線をさ迷わせたロイは、直ぐに差し出された包みの意味を思い出して、にっこりと対女性用の(エドワード曰く胡散臭い)笑顔を浮かべた。
「ありがとう。君のような美しい女性からチョコを贈ってもらえるなんて、私は朝からとてもついてるな」
「そ・・・そんな・・・」
ロイの言葉が半分以上リップサービスだと分かっていても、ずば抜けた美貌に微笑まれて女性は見る見る頬を染めていく。
その初々しい反応にくすりと笑いながら、ロイは差し出された包みを大事そうに受け取った。
「お言葉にあまえてこれは頂戴するよ」
「は・・・はい!ありがとうございます」
優しい仕草に見蕩れながら、女性は嬉しそうに微笑んだ。
これでしばらくは幸せな気持ちで生きていける、そう本気で思ってしまうほどロイの笑みは極上のものだった。
「では、私はこれで失礼するよ」
すっかりとロイに見蕩れて、返事もままならない女性にもう一度くすりと笑いながら、ロイは再び自分の執務室へと向けて歩き出した。
そして自分の執務室へと続く廊下の角を曲がったときだった。
「あああ、やっぱり事務のセリーナのチョコも大佐の手に・・・」
悔しそうなハボックの呟きが聞こえたのは。
「ハボック?お前こんなところで何をしているんだ・・・」
壁に身を隠すようにしながらどうやらチョコを渡されるロイの様子を窺っていたらしいハボックは、半分殺気のこもった恨めしそうな視線をロイへと向ける。
「大佐!あんた分かってンすか!彼女は・・・セリーナはこの東方司令部一の器量良しと言われている娘なんですよ!そのチョコをいとも簡単にゲットして~~~」
「ほう、彼女の名前はセリーナと言ったのか」
どうやら初めて女性の名前を知ったらしいロイに、ハボックはひくひくと頬を引きつらせる。
自分達が必死に彼女を振り返らせようと努力しているにも関わらず、この上司は努力一つしないどころか、名前さえしらないというのに、あっさりと彼女のチョコをゲットして。
これがモテる男というものなのかと、ハボックは己とあまりにも違うロイの姿に、哀しみを通り越して殺意さえ芽生えてきそうだ。
「ホント・・・大佐ってモテモテですよねぇ・・・」
それはこれだけの容姿と地位と、もう一つおまけに財力まで持っていたら当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
同じ人間なのにこんなに格差をつけるなんて、あんまりじゃないでしょうかと、普段は全く信じていないカミサマというものにハボックは愚痴ってみる。
「でも、ハボック少尉も満更ではないようじゃないか」
どっぷりと落ち込んでしまったハボックを慰めるように、ロイはハボックの足元に置いてあった紙袋を指差した。
大きな紙袋には、溢れんばかりの包みがぎっしりと詰め込まれているのが見てとれる。
これだけもらえるのならば、ハボックだって十分モテているじゃないかとフォローしたつもりだったのだが。
「・・・大佐」
更に恨みがましい目で見つめられて、ロイは思わず一歩後ずさってしまう。
「な・・・なんだハボック、今日はお前なんかキャラ変わってないか?」
いつもと立場が逆転したその姿に多少は気が晴れて、ハボックは漸くいつも通りの笑みを浮かべた。
滅多に見れないロイの慌てた姿と言うのも見れたことだし、良しとするかと思ったのだ。
あまり自分のがモテない事を棚に挙げて、ロイに嫌味を言っても虚しいだけというのもあるし。
「まぁ、大佐の場合は俺への嫌味じゃなくて、本気で言ってるんでしょうけどね。このチョコは全部大佐のですよ。俺から渡してくれって、頼まれてただけで俺のは一個も入ってません」
「そ・・・そうなのかね」
どうやら自分の発言が更に墓穴を掘ったらしいと、遅まきながらロイも気がついたようだ。
「全く、大佐なんて高嶺の花にばっかり目を向けてないで、彼女たちももう少し現実を見てくれればいいのに」
人間夢をみることは絶対に必要だとわかっているから、そう強く言う事は出来ないけれども。
こうして一人で大多数の女性の心をつかんでしまう人間がいるから、あぶれる男達が出でしまうのだ。
男性と女性の比率にそれ程差が有るわけではないと言うのに、現実とはうまくいかないものだと、やれやれと肩を竦めながら、ハボックは床に置かれた紙袋を手に持った。
「ハボック・・・?」
不思議そうに見上げるロイに、ハボックは苦笑をもらした。
「このチョコは責任もってちゃんと大佐の執務室までお運びいたしますよ」
「そうだな、彼女達にもちゃんとお礼をしなければな」
ハボックの言葉に安心したのか、ロイもふわりと微笑んだ。
「・・・それにしても。今日がバレンタインデーだったなんて、すっかり忘れていたよ」
ハボックと連れ立って執務室を目指しながら、ロイはポツリと呟く。
「え?大佐が?珍しいですね・・・」
純粋に驚いたらしいハボックに、ロイは曖昧な笑みを浮かべる。
「今年は私に催促してくる人物が来なかったのでね」
「あー・・・、そういえば今年は鋼の大将の姿見なかったッスね」
この時期になると、うるさい程にロイの傍にまとわりついてチョコを催促するエドワードの姿は、もはや東方司令部での風物詩となりつつあったのだが、言われてみれば今年は姿を見かけていない。
「毎年この時期になると当たり前のように来てたのに、珍しいこともあります・・・・・・」
そこまで言いかけて、ふとロイの方へ視線を向けたハボックは、何処と無く寂しそうな表情を浮かべるロイに言葉を途切れさせた。
「仕方ないさ。彼らにはやるべきことがある。呑気にイベントにかまけてる場合じゃないんだろう」
「・・・そうッスね・・・」
なんでもないことのようにロイは笑っているが、何処と無く覇気がないように感じられるのはハボックの気のせいでは無いのだろう。
滅多に会えないだけに、毎年決まった時期にエドワードが戻ってるこのイベントを、ロイは密かに楽しみにしていたのかもしれない。
きっと本人は素直に認めはしないだろうけれども。
「でも、大将もきっと色んな事情があって戻ってこれないんでしょうし、何日か遅れてチョコよこせとか言ってくるかも知れないですよ?」
こんな取ってつけたような慰めが、ロイの役に立つとは思えなかったけれど。
思わずハボックはそう口に出していた。
はじめはハボックが言った事に対してきょとんとハボックを見つめていたロイがくすりと笑う。
「そうだな。そういう事も考慮してチョコは用意しておいてやった方がいいかもしれんな」
「そうそう。大将のことだから、十分ありえますよ」
クスクスと笑うロイの姿に、ようやく安堵してハボックはロイの言葉にあわせる。
「ありがとうハボック少尉。私が女性なら結構いまの言葉はぐっときたかもしれないよ?」
「え?」
「おかしいなぁ。そういう気の利いた言葉がいえるのならば、もう少し女性にモテてもよさそうなものだが・・・」
すっかりといつもの調子に戻ってしまったロイに、ハボックは再び頬を引きつらせながら。
「俺の事はそっとしておいてください!」
再び容赦なく突きつけられた現実に、悲しげな悲鳴を上げるのだった。



「それにしても、鋼のが戻ってこないとは珍しい。まぁ、確かに鋼のにとって優先すべきはアルフォンス君のことだから、それも当たり前か」
自宅へと戻ってきたロイはひっそりとため息を落としながら、ドアの鍵を開けようと鍵を刺すが、ふと違和感を感じて眉を顰める。
「開いている・・・?」
確かに今朝しっかりと鍵をかけたはずなのに、手をかければドアはあっさりと開いてしまった。
「という事は・・・鋼のがきているのか?」
この家の鍵を持っているのはエドワードただ一人しかいないので、ロイは驚きつつもリビングへと向かった。
「おー・・・思ったより早かったな、大佐~」
「鋼の・・・」
リビングには満面の笑みを浮かべながら、ソファの背にもたれて手を振るエドワードの姿があった。
なんだかその能天気な姿を見た途端、ロイはがっくりと項垂れてしまった。
「あれ?どうしたの大佐?」
「いや・・・どうもしないが・・・。何で君がここにいるんだね?」
「何でってそりゃ今日はバレンタインデーだから?」
「可愛く首を傾げても、何も出ないぞ」
「えー・・・大佐ってば冷たい・・・」
しくしくと泣きまねをするエドワードに呆れつつも、ロイはエドワードの隣へと腰を下ろす。
途端に抱きついてくるエドワードに、ロイはやれやれと思いながらもその小さな背に両手を回した。
「だって仕方がないだろう?今年は君が催促にもこないから、今日まですっかり忘れていたんだよ」
あやすようにぽんぽんと背中を叩けば、エドワードはむぅと膨れながらもロイの唇に触れるだけの口付けを落とす。
「まぁ、いいけどね。今年は大佐から貰おうって思ってなかったし」
「なんだ?ついに女性から貰う方が嬉しくなったのか?」
「違うし!どうしてあんたがいるのに女なんぞに現を抜かさなきゃいけねぇんだ!」
「鋼の・・・。それはそれで問題発言な気もするが」
「いいの!俺にはあんただけなんだから!」
本人は気がついているのか、いないのか。
熱烈な告白にたじろぐロイには気がつかず、ついにロイの膝の上へと乗り上げたエドワードが、上機嫌にどこからか取り出したのか、ロイの目の前に綺麗にラッピングされた包みを差し出した。
「鋼の?」
「いつも俺があんたに貰ってばっかりだったからさ。なんか今年は逆チョコって言うのも流行だって聞いたし、たまには俺からってのも悪くないかな・・・って」
少し照れながら、エドワードはロイの手を取るとその手の上にピンクの包みを乗せた。
「俺からの精一杯の愛をこめて・・・な?」
「鋼の・・・」
珍しく照れているらしいエドワードに、ロイの方まで赤くなってしまう。
「・・・でも鋼の、せっかく貰っても私は何もお返しは用意してないよ?」
赤くなってしまった頬を誤魔化すようにそう問いかければ、エドワードは楽しそうににやりと笑う。
「いいっていいって。俺は世界一甘い食べ物今から貰うし?」
「・・・は?」
意味が分からないというロイの唇に、エドワードは再び口付ける。
だだし、今度は先程とは打って変わったような、濃厚なキスを。
「ん・・・んん・・・」
ロイの身体から力が抜けるまで念入りに口付けを施したエドワードは、ロイの両頬に触れるとゆっくりと告げた。
「勿論、俺にとっての一番甘い食べ物はあんただよ」
「は・・・鋼の・・・ッ!」
子供の言う台詞じゃないというロイの叫びは、三度目の口付けによって遮られた。
そのままどさりとソファへと押し倒され、ロイの抗議の声が甘い啼き声に変わるまで時間はかからない。
こうして恋人達の甘い夜は、今年も無事(?)に過ぎていくのだった。



・・・・・・・とまぁ、そんな訳で無理矢理バレンタイン小説でした(笑)
去年書きかけて結局アップできなかった小説があるから、今年のバレンタインは更新楽勝v(・_・) ブイッとか思っていたのに、何処を探してもその小説が発見できなかった管理人です。
結局最初から書き直しだよ・・・|||orz
まぁ、どうせ前回の書きかけはオチ考えてなかったから、いいですけど。
せっかく書き直したので、今回はちょっと今年話題になった逆チョコを入れてみたり。
たまにはエドからってのも面白いよね?と思ったのですが。
でも、この話の流れで行くと、明日には大佐がガトーショコラあたりつくって、エドにあげてそう。
一日遅れたけど・・・受け取ってくれるかい?
とか言いながら。
どこまで甘やかし体質なんだよ!
あ、因みに。しつこいようですが、うちの大佐は(原作で否定されようとも)料理上手です(笑)
2009
02/14
23:33
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プロフィール

中原光希

Author:中原光希
熱しやすく冷めやすい典型的なB型人間。
良くも悪くもマイペース。

同人界には珍しい(?)、攻め様に愛情を傾ける派。
基本16才ぐらいの少年と青年の狭間にいるぐらいのキャラに萌ゆる。
シンフォニアクリアしてない、攻めでもない、少年でもないクラトスさんに何故すっ転んだのか自分でもよくわからないまま愛を叫ぶ日々。
父さんが好きすぎて辛い(笑)

親バカ、子バカ、シスコン、ブラコン大好物。
身内に甘いキャラがとても好み。
CP傾向は年下×年上基本。
年も力も上な受けが、攻めに迫られてわたわたするのがいい(・∀・)

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